外資系銀行で20年働いている主人公の米山志乃。
ある月曜日、役員用会議室(ボード・ルーム)に呼び出されて
希望退職者優遇制度への応募を促されるところから物語が始まる。
導かれたかのように出会った
長嶺卓、後藤知哉と一緒にteamを組んだ彼女は、
当初は予想もしていなかったものをあぶりだすことになる。
ハッキングによる電子取引への干渉。
テーマとしては、ありふれてしまった感もあるし、
なにより作者の幸田真音さんが本書の着想を得た1995年、そして
小説の刊行された1996年という時代が今から思えば
この世界ではこれほど一時代前のことかと思うほど。
(インターネットがまだ、あまり知られていないものとして
紹介されているくらい。)
時代感のずれはそれなりに楽しみつつ、
面白かったのはやはり幾重にもつながっていく展開の部分。
エピローグでの登場人物たちのそれぞれの再出発も好ましかった。