主人公が新しく暮らし始めた街で出会った美味しいサンドイッチに、
出会った人たち。そして彼のつくることになるスープ。
なんとも不思議な味わいのある小説。
そしてもうひとつのテーマは、
街の映画館で上映される古い映画。
スクリーンの中でわずかだけ登場する女優。
最後で、彼女が彼のつくるスープを飲みたいというシーン。
今まで読んだことない恋愛小説だと思った。
こういう小説を読むと、(以前も書いたのだけど)
長く住みつづける存在としての街のことを考える。
暮らしながら、成長したり、人と出会ったりした記憶や歴史が
積み重なって個人にとって特別な場所になっていく。
それらは残っていて振り返る思い出とは
違うものだという気がする。