現代、そして2年前がカットバックしながら進む物語。
洒落た言葉の遊び、凝った構成、
それはいつもの伊坂幸太郎さんのスタイルなれど、
読み始めて、最初は正直すこしうんざりした気分もあった。
そのための小説? そのための小説? という感じ。
予想される展開、上手に編み上げられていくストーリー。
そして、二つの世界がつながって、転換。
ああ、そういうことなのかと思った。
言葉の遊びも、饒舌さも
この小説のための必然なんだ。
何度か読み返して、あらためてそう思った。
うまいなと思う。コインロッカーでのシーンが映画のように
想像できる。
平和に、健康に生きていれば、
人生は退屈で平凡なもののように思ってしまう。
けれど、たとえば数年であっても
多くの、すごいことができる、そういうものだと思った。