road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「タナボタ!」高嶋哲夫/幻冬舎

高嶋哲夫さんの、長編小説。

衆議院選挙での圧倒的な勝利、
その結果として、比例名簿の末席に名前をのせていた大場大志は
民有党の衆議院議員になる。

前回の民主党、前々回の自民党で、現実にも見られたこと。

大学を卒業後、仕事もなくアルバイトでなんとか生活していた大場大志も、
現実と同じく、志をもって議員を目指したわけでもなく、
信じられないくらい楽で、高待遇な国会議員の立場を喜びながらも
次第に戸惑うようになる。

そこまでは現実と同じ。

この小説が、現実と異なるのは、
高校時代の友人や自分の家族、
かつて志をもっていた古参議員や、議員秘書
官僚に、新聞記者、

周りの人間とのかかわりの中で、
何かを変えるべきだと考え、自分の保身を省みずに行動を起こすこと。

ちょうど、東北関東地震の起きる前に1/3くらいを読んでいた。
震災後、しばらくしてから残りを読んだ。

何かをやる男、
経歴も能力も見透かされていた中で、
周りの人間は、大場大志について、そんな感想をもっていた。

人の意見を聞けること、
自分の能力の欠如を認められること、

主人公に協力をはじめる人間たちの気持ちは、読者の私にも共感できた。

物語には、すごく希望を感じる。
政治家というは、こういう行動ができる人間だけがなるべきだ。

感想は複雑、
物語は結局物語・・で終わるようなら絶望的、

現実も、
たとえば今回の大震災の経験を踏まえて
政治家、有権者共に自己を省みることができるなら、
希望につながる。

有権者の責任も、重い。

政治に無関心でいることは、もう許されない時がきたのだと想う。