road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「吸涙鬼」市川拓司/講談社

市川拓司さんの長編小説。

プロローグは、
27歳で結婚式を迎えた主人公:芳川美紗、

かつて先の知れない不治の病をかかえて、二十歳まで生きられないと
諦めていた少女の17歳の初恋が、この物語の始まり。

切なさや、はかなさは、市川作品のエッセンスそのものだけど、
そこに、特殊な性質を受け継いでひっそりといきてきた人びとを
絡ませたのが本作。

中世のヨーロッパでなく、現代の日本でこの物語がむりなく成立するのは
市川拓司さんならではの、よわきものへのやさしい視点のためですね。

心を通わせた二人の別れと、

そしてエピローグ、

恋愛ものだとするなら、Happy Endといえるのかな、
というところがせつなくて、またよし、です。