刑務所を出所したばかりの元?泥棒:井堀(イボリ)が、
騒動に巻き込まれていく。
憎めない小悪党が活躍するというストーリーは
エンターティメントとしては結構かたいジャンルだと改めて思った。
現実なら、しゃれにならないような困難や非常事態でも、
主人公の軽妙な開きなおりに付き合ううちに
ユーモラスに感じられてくる。
ものごとは気のもちよう、考えようというのは
おそらく人が生きていくのに大切な真理なのだろう。
リアルに怖いサイコパス:ノブオや、身動きできない窮地に追い込まれる刑事:山岡、
何人もの複雑な事情が交錯するにもかかわらず、小説全体のテイストは
主人公イボリの明るさが支配している。
イボリが最後にユリの心をつかんでHappy End。
しあわせは、こんなに身近にあるものだと思えるのも、また良い。