浅田次郎さんの描く7編からなる怪談集。
「赤い絆」
「虫篝 むしかがり」
「骨の来歴」
「昔の男」
「客人 まろうど」
「遠別離」
「お狐様の話」
最初と最後は、主人公の神主の娘が
親戚の子等と一緒に
伯母から聞く寝物語として語られる。
古い日本家屋と、客間にひかれた布団のなかで向かえる夜。
子供の頃の記憶がちょっと重なった。
それこそ江戸時代、明治や大正・昭和までさかのぼって共有できる
日本人にとっての共通の原風景のようなものかもしれない。
怪談は何故かものかなしいものが多い。
個人的なBESTは、ひとつだけテイストの異なる奇譚ものになっていた
「昔の男」。
使命と責任。こういう仕事(職業)とのかかわりもあるとおもう。
誰かひとりでも、わかってくれる人がいるなら
損得ぬきで自分の価値観に真摯に向かいあえるのだと思った。
もしこんな人たちの人生に、わずかでもふれあうことがあったなら、
その気持ちを表明することに躊躇しない自分でいたい、と思う。