「13階段」で2001年第47回江戸川乱歩賞を受賞した高野和明さんの小説。
小説の世界は深い・・というか。
良かった。掘り出し物。
自殺で命を落とした主人公。
死後の中間世界で、年も(死んだ時代も)経験も異なる3人と出会う。
共通点は自殺したということ。各々、後で明らかになる悩みを抱えていた。
そこに神様が現れて..
命を粗末にした償いとして
現世に戻って、7週間で100人の自殺者の命を救うことで天国にいけるという。
4人は人命救助隊としてチームになる。
題名からして(装丁も)B級エンタティメントに間違いない、と
思っていたけれど..
読み応えのある小説だった。
笑えるところもあった、涙がでそうなシーンも。
多くのほかの傑作にも負けない作品。
長編ということもあって、
要救助者のタイプを広げていかなくてはならないという点は
網羅的になって、格調をそこなう一因にもなっていると思うけれど、
そんなことはどうでも良い。
この本は、直木賞も他の賞もとれないだろうけど..
たぶん作者の伝えたいことは100%伝えられているのではないかと思う。
ただし、売れないと多くの読者の手に届かないのがジレンマ。
高野さんの小説、
「13階段」、「グレイヴディッガー」と読んだきたけれど、
この人は、D.R.クーンツのように化けていく人ではないかなと思うようになった。