2001年「13階段」で第47回江戸川乱歩賞を受賞した高野和明さんと、
アメリカで映画製作を学び、現在(株)シネマゲートで
映像ソフト事業を手がける坂上仁志さんが
共著で書き下ろした本。
巻末に
「本作品は、高野と阪上が共同でストーリーを作成し、
高野が執筆したものです。」と付されています。
高野和明さんの小説を何冊か読んでいたので、
手に取る機会がありましたが、
装丁のカバー写真といい、書名といい、
どんな本なのか、一見想像もつきません。
来生夢衣(ゆい)のカウンセリングルームに
とある事件をきっかけに不眠症になやむようになった
刑事:麻生健介がたずねるところから物語は始まる。
夢衣(ゆい)が、秘密にしている特殊能力は
他人の夢の中にはいれること。
高野和明さんの小説は、いままでも作品によってかなり
カラーが異なっていて、それが”らしさ”でもあったのですが、
本作では、いつもより特徴が抑えられた語り口になっていて、
それがふたりの主人公の心理と、ふれあいを描いていくのに
いい効果を出しています。
事件が起こり、それを解決するということで
推理やサスペンスというジャンルの小説であることに
かわりはないですが、
今までにない、雰囲気の小説になっていて楽しめました。
おもしろかったです。