恒谷美雨さんの長編小説
<作品紹介>
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お父さん、何歳まで運転するつもり? 「わしは死ぬまで運転する!」
「また高齢ドライバーの事故かよ」。猪狩雅志はテレビニュースに目を向けた。
そして気づく。「78歳っていえば......」。雅志の父親も同じ歳になるのだ。
「うちの親父に限って」とは思うものの、妻の歩美と話しているうちに不安になってきた。
それもあって夏に息子の息吹と帰省したとき、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、
あえなも不首尾に。
通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。
そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して......。
果たして父は運転をやめるのか、雅志の出した答えとは?心温まる家族小説!
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主人公は、電器メーカーで働く技術者:猪狩雅志
仕事も年齢も、自分と近いので
自分と重ねてしまうところもありました。
田舎で暮らす家族・親族がいるなら、高齢者ドライバーの問題は
他人事でなく、いずれは自分でも考えないといけない問題ですね。
実際、自分の田舎も、クルマがあるとないでは生活の便利さが
全然ちがいます。
本作では、
問題を解決しようと努力する中で、感じる家族との関係、
確かに存在するかつての同級生たちとのつながり、が
ほっこりあたたくて救いになりました。
終盤、主人公の猪狩雅志が、
離れた町に暮らす家族の気持ちをつなぐきっかけになる
エピソードが、一番好きです。
おすすめ。
<閑話休題>
本作で登場するヒマワリ号、車両をつかった食料や雑貨の訪問ルート販売、
私の実家が、熊本の今の実家に引っ越してからしばらくの期間も、
ちかくにスーパーなどの商店がなくて、利用していたことがありました。
(徒歩圏には、小さな酒屋さんくらいしかなくて、スーパーは隣町まで
電車やバスで行く必要がありました。)
軽トラックを改造したような車両が時折、巡回してきていて
近所の主婦たちがたくさんあつまっているなかで
豆腐とかあぶらげとかがフックにぶら下がっていた
光景を今でも鮮明に覚えています。
クルマがない家庭で、徒歩や自転車で気軽にいける場所のスーパーが
閉店してしまうと、必要になってくるサービスですね。
<角川書店のHP>
https://www.kadokawa.co.jp/product/321811000204/