road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「騎士団長殺し」村上春樹/新潮社

村上春樹さんの長編小説

第一部 顕れるイデア
第二部 遷ろうメタファー編

村上春樹さんの長編小説を読むのは久しぶり。

最初に書名や副題をみた印象からは、
中世をモデルにした架空世界のファンタジーなのか?と

身近な時代を舞台にした「1Q84」に比べてちょっととっつきにくさを感じていたのですが。。

舞台は現代の日本で、物語の世界にはすぐ入り込めます。


主人公は、肖像画を描いている画家

妻から突然別れを切り出された後、東北をしばらく旅した後に
友人から紹介されて、彼の父親で有名な日本画家でも雨田具彦の
アトリエのある小田原の山の中の家(海も見える)で数か月を暮らすことになる。

個人的に、神奈川に住むことになって小田原の位置感が身近になったので
その分、本作の舞台への親しみがあがりました。


近くに住む免色氏との出会いやかかわり、彼の個性、

そしてもちろん”騎士団長”の登場は、
村上春樹さんワールドの魅力にあふれていて、大いに楽しめます。

主人公ののっていたプジョーや、カローラワゴン、
旅先でのスバル・フォレスター、免色氏の所有するジャガー
クルマが醸し出す舞台装置としての魅力も健在。


過去の作品との違いは、

主人公の妻の存在や、15の時に病気でなくなった3歳下の妹の存在の
大きさ。そして物語がEndingに入り、手事項が東京に戻って・・。

主人公が、家族など個人的な関係についての葛藤を抱えている
というのは、今までになかったパターンだと感じました。


メインストーリー、

正直、そこは不完全燃焼な感じが否めなかった、

明らかにならない謎と、不思議な出来事。

これが現実的なリアリティなのかもしれない、とは思いましたが
謎の部分についてのカタルシスは得られなかった。

1部、2部の2冊のボリュームでという限界もあるのでしょうが
このストーリーを後2冊に広げれば、という想像もちょっとできなかった。

次作がでるまではもうしばらく。待っています。