宮部みゆきさんの”杉村三郎シリーズ”
表題作を含む3篇を収録
- 絶対零度
- 華燭
- 昨日がなければ明日もない
前作、前々作で、妻と離婚後、一度故郷に戻りその後
東京北区で私立探偵を始めた杉村三郎のエピソードが描かれたのですが
本作は、少し落ち着いて、杉村の私立探偵としての日常を描いた作品
という位置づけになるでしょうか。
舞台は、東日本大震災が起きた少し後という時代なので
現在からは少し前。
杉村三郎と 元妻のところに残してきた娘:桃子とのSKYPEなどでのやり取りは
後期シリーズで杉村の精神的な大きな支えになっているので、
事件においても、家族や子供とのつながりに杉村の視点があるのが
特徴なのだなと分かってきました。
「絶対零度」や「昨日がなければ明日もない」
周囲の悪意に傷つけられたり、子供が親の事情で痛むのを見るのは切ない。
本作での救いは、「華燭」での悲喜劇かなと思いました。
杉村が事務所を間借りしている大家:竹中家の家族とのかかわり、
古くからのなじみでもある「侘助」でのでシーンがでてくるとほっとします。
本作で登場した立科警部補とのかかわりが、これから
大きな事件につながっていくのか?
長編の新作も期待してます。