副題は「世界にただひとりのサンタクロース」
島田荘司さんの長編小説を
読むのはかなりひさしぶりな気がします。
まだ平成は遥に遠い昭和の時代、
一人の少女に起きたクリスマスの奇跡と
密室事件。
それから10年以上の時間がたった
1975年冬、
御手洗潔が、まだ若く京大にいたころに事件とかかわるのが
本小説のもうひとつの舞台。
事件が起きた時代は、自分が生まれた頃ということになるのだけど
このころの日本の生活とか、まだまだ貧しかったことは
自分の記憶からも想像できます。
古都京都ならではの幻想的なイメージと、論理的な鮮やかな解。
けれど、いつもの爽快さよりも、
本書では、少女と、奇跡を演出した男の
人生のかかわりと、そしてEndingでのあたらしい希望
よかった。
人生捨てたものじゃない、そう思いました。