road2vのブログ - a little white rooster

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「プラチナタウン」楡周平/祥伝社

楡周平さんの長編小説。

主人公:山崎鉄郎は、
総合商社・四井商事の食料事業本部穀物取引部部長を勤める55歳。

ある日、中学時代の同級生であるクマケンこと:熊沢健二から、
大赤字を抱えた故郷・宮城県緑原町の
再建のために、その経験を生かして
町長になってくれないかと懇願される。

一方、
上司である八代本部長の子息の入社面接で低評価をつけたことに
端を発して、子会社への出向を打診される。
明らかな降格人事、会社に残る選択をしても
もう未来はないことが見えている。

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地元のマスコミでの先走った報道もあり、後戻りできない状況の中、
覚悟を決めて、地元の再建にのりだすことになる。

最近の作品で、
物流などの新しいビジネスモデルをテーマにしてきた
楡周平さんの作品だけに、
田舎の町の再建をテーマにした、小説は興味があった。


自然の豊かな田舎の魅力は、個人的にもよくわかるし、
この数年の経済状況の中で、
地方の苦しさも実感している。

物語だから自由に書けるといっても、現実性が乏しければ
リアリティがなくなってしまう。

考えられるメリット・デメリットを押さえて築きあげた
起死回生のプロジェクトのゆくへは・・

ビジネスとして有望と判断した四井商事のプロフェッショナルさと
それを知り尽くした主人公のタッグならでは、実現力。

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今回の東北・関東大震災からの復興においても、
プロフェッショナルたちの知識や経験が有効に生かされれば、
想像よりもずっと早く実現ができるものと期待できる。

- 日本が培ってきた総合力が試されることになるが、
 その点で全く心配はいらないと思う。


日本国民が身にしみて実感することになったのは、
原発のリスクを、人類はコントロールできるのかということ。

報道ニュースでの簡略化された説明と
インターネットで開示される専門家たちの意見、
今まで安全に管理されていたという説明について、
そういうことだったの?と
驚かされることが多々ある。

チェルノブイリやスリーマイルでの事故をきっかけに
ドイツやアメリカがとった決断は、とても理知的なものに思える。

東京電力が、原子力のリスクが民間企業に請け負えるものでないと
判断することになるなら、それは、他の地方の電力会社にとっても
同様なことのはずだ。