楡周平さんの長編小説。
プロボノとは、
本業で身に着けた知識や経験を活かし、ボランティアとして社会貢献をすること。
プロボノを派遣するNPO法人「MY LINK」に集まった人たち、
それぞれ本業でのプロフェッショナルである彼らが
本作で、
義憤を感じて、立ち向かうのは
大手電機メーカー「パシフィック」で
非道な首切り・退職を進める人事部労務担当部長。
小説だから、極端にデフォルメした部分はもちろんあるのだろうけれど、
かつて、赤字決算が続いて痛んでいた日本のいくつかの企業で
現実にあったことを下敷きにしているのは確かです。
正直、自分も本書を読んで改めて当時の
社会の雰囲気を思い出したところがあります。
好決算が続く今の日本では、当然のように思えますが
コンプライアンスの順守や
ワークライフバランスが経営者の口から語られることに
違和感をもたなくなったのは、
本当にこの数年のこと。
ことば(概念)自体は、
もちろん私が就職活動していた30年まえからありましたが
社会全体で、また会社そのものが本気でそう考えるようになったと
少しでも思えるようになったのは、
かつてから考えれば奇跡的なことに感じます。
それは、けれど、
好調な経済や雇用環境の下支えがあってこそ成り立ったことだと思っています。