雫井脩介さんの長編小説。
物語の語り手になる主人公、
作家:待居涼司、
作品「凍て鶴」での文学賞受賞連絡を待つシーンから物語は始まる。
映画化の話が進み、
その脚本・監督・主演を勤めることになる小野川充、
小野川充が作品にそのイメージを重ね合わせた現実の事件、
自殺サークル{落花の会}の主催者:木ノ瀬蓮美の最期
当時、{落花の会}を取材していたノンフィクション・ライター:今泉知里
3人の視点が切り替わりながら、真実を浮かび上がらせていく。
テーマがテーマだけに、明るく楽しいといった展開には
ならないのだけれど、{落花の会}の活動にこだわる小野川の好奇心と
今泉知里による地道な調査の過程のリアルさが重なって、
作り物といえないような不思議な現実感を
作り出していると思う。
それだけに終盤での怖さ、その後の展開もまた・・。
異色作です。