アメリカ・ハリウッドを舞台に松崎レオナが活躍する長編小説。
御手洗もののサイドストーリーというには、大長編のため
以前、図書館で借りたときは期限までにとりかかれずに
返却することになったのだが、
今年の島田作品の新作ラッシュの波にのって再度手に取ってみた。
面白かった。
まぎれもなくレオナを主役にしたレオナのための物語として完成している。
[水晶のピラミッド」「アトポス」ときて、
ハリウッドのTOP女優にのぼりつめたレオナの描きかたも
痛いほどのリアリティをもつようになったと思えた。
実際にLAに長期滞在している島田荘司さんの経験も
効果的に生かされていると思う。
その無謀さも、行動力も
らしいのだけれど、それにしても、
レオナがこんなキャラクターになってしまうのは、
しょうがないことなのか?
「暗闇坂の人食いの木」読んだ頃には、
御手洗潔とうまくいけばと思っていた。
なんだか、個人的にはレオナには幸せになってほしいと思っている。
(「涙流れるままに」で通子が吉敷武史と最後には幸せをつかめたように。)
終盤、御手洗潔から電話でアドバイスを受けるシーンでは、
けっこうニュートラルな関係をうかがわせて、
少しは安心したのだけれど・・。
さらに成長したレオナが
御手洗潔と一緒に活躍するような長編を読んでみたい。