楡周平さんの新作長編。
楡周平さんのイメージは、私の中で
「Cの福音」に代表されるクライムノベルから、
すっかり変ってきた。
楡周平さん自身の経験も含めたノンフィクション
「外資の人たち」は私の愛読書でもあり、
就寝前に定期的に読む本の一冊だった。
(これを読むと「ガリバー・パニック」が楡さん本来の
人間性とリンクした作品であると思います。)
それ以降、前作「再生巨流」などビジネス(経済)小説として
読み応えある作品が続いていて、嬉しい。
本作は、巨大物流企業の社員が、危機に際して
起死回生の策を考え出して軌道に乗せる、というストーリーで
「再生巨流」とは、姉妹作のような印象ももった。
おそらく、前作を書く際に積み重ねた検討やスキームのアイデアが
もうひとつの作品として結実したのかと思う。
物語としては、モデルになっただろう企業が明確で
最近の現実の出来事とのリンクが、
現実感(リアリティ)を高めていて
楽しめました。
表題のラストワンマイルの持つ意味が、
痛快な逆転劇を生むあたりは、何故だか
感情移入して、よし!と声を上げたくなったり・
日頃、コストダウンを求める無理な要求にさいなまされている
サラリーマンには、おすすめです。
(ストレス解消にどうぞ。)