road2vのブログ - a little white rooster

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「盲剣楼奇譚」島田荘司/文藝春秋

島田荘司さんの長編小説
 
島田荘司さんの新作を読むのは久しぶり。
 
江戸時代から続く金沢の芸者置屋・盲剣楼で
終戦直後の昭和20年9月に起きた大量惨殺事件
70年後に起きた誘拐事件をきっかけに、驚くべき真相が
明かされる。
 
本作で事件解決に奔走する主人公は。。あの吉敷竹史。
 
吉敷の登場は「涙流れるままに」以来じゃないのかな。
 
自分にとっては、
「涙流れるままに」は島田荘司さんの小説の中でも
特別な作品で、
終章で、吉敷が娘のゆき子と出合うシーンは
何度読み直しても泣いてしまいます。

本作では、
金沢、東の茶屋街に「香聴き茶屋」という店を出している
吉敷の妻、通子さんの店の所有者である、鷹科艶子の
子供の頃の不思議な体験から物語が始まります。
ゆき子が
しっかりと成長して東京大学の大学生になっていて、
想像もしていなかった吉敷たち家族との再会が嬉しかった。

現実の事件と、
その真相によりそうようなもうひとつの幻想的な物語、
「アトポス」で描かれたような島田荘司さん独自の章立ても
ひさしぶりの気がします。
しかも本作では、それが時代小説。
時代小説にはあまりなじみがないほうなのだけれど
小説の大部分を占める、鮎之進の物語にも
引き込まれました。

“吉敷竹史シリーズ”のファンだった方、
再会をお楽しみください。