road2vのブログ - a little white rooster

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「最後の一球」島田荘司/原書房

御手洗潔・石岡君のコンビが活躍する長編小説。

島田荘司さんの新作を読むのは久しぶりと思い、
ブログの記録を調べたら2007年「リベルタスの寓話」以来
15ヶ月ぶりでした。

後付をみたら本書が出版されたのは2006年11月!
書名と装丁のイラスト(ユニフォーム姿の野球選手が投球を終えた姿)
からは、島田荘司さんの作品とは想像もできなくて
見逃してしまっていたということですね。

時は、1993年10月、「ロシア幽霊軍艦事件」直後の秋、
横浜・馬車道の事務所から。

山梨県、田舎の美容院の女性店主の自殺未遂事件。
イントロダクションを終えた後、
無関係に思えるひとりの野球選手の人生回顧が語らえる。
コラージュされた物語が最後に焦点を結んで、
ああという感慨につつまれるのは、
近年の島田荘司さんの定石で、期待は裏切られません。

プロ野球選手をめざして、野球に打ち込んだ一人の男と、
超一流の才能・実力でオーラをはなつスター選手の友情が生んだ奇跡。

かつて社会問題になり多くの人を苦しめた「商工ローン」を
モチーフにして、こんな小説を作り出せるのは、
島田荘司さんならではと思う。

ミステリとしては、
ちょっと本道から離れたスタンスの分、
特別な感慨を残す作品になっています。

おすすめです。