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「酒盃を乾して」沢木耕太郎/文藝春秋

沢木耕太郎ノンフィクションIX。
全9冊の最終巻。

先週読んだ機峽磴靴倒れよ」に対して、最近のイベントの観戦記が編まれている。
特に印象に残ったものをあげると、

1983年 第一回ヘルシンキフィンランド世界陸上
=> 今はオリンピックにせまる陸上競技イベントになった世界陸上の第一回の様子が
  わかる。これについてはイベントの記憶がない。
  日本人にとって、陸上はマラソン以外は
  まだメダルの狙えないものだった。隔世の感がある。

  3/21:
  WBC決勝の解説のなかでふれられていたが、オリンピックでボイコットが
  相次いだことを契機にして、別の世界一を決める大会として始まったらしい。
  なるほど。

1984年 ロサンゼルスオリンピック
=> テレビでだが、開会式から通して多くの競技を観戦した初めてのオリンピック。
  前回のモスクワ五輪(1980)を日本を含む西側諸国がボイコットしたため
  渇望感ももっていたためか記憶が鮮明。
  TV観戦の最初の記憶があるモントリオールからアテネまで、すべてのオリンピックは
  やはり印象的なシーンを思い出せる。(モスクワのボイコット前後のトピックさえも)

そして、次のふたつは本当に最近のもの。
沢木さんの書いたものをリアルタイムで読んだ記憶がある。

1998年 長野オリンピック
=> 日本開催で日中に行われた競技を、インターネットでモニタした初のオリンピック。
  ジャンプ競技で日本が金メダルをとったときの感動を、同僚たちと分かちあった記憶が
  なつかしい。このときの選手たちがトリノでも戦っていたと思うと、彼らの精進には
  感銘をうける。

2002年 日韓ワールドカップ
=> 前回の冬季オリンピックソルトレーク)の後に、人生初の転職を体験した。
  日本で最初で最後(私の人生では?)のW杯のみならず、その点で強い記憶がある。

  新しい会社では日々ハードに働いていて、
  週末に行われたロシア戦以外、日本の試合さえもまともに見ることができなかった。
  ソルトレーク五輪の時は、転職が決定して前の会社で引継ぎや整理などを行いながら
  開放された気分でTVを見ていた。
  あわせて昨日のことのように覚えている。

  冬季・夏季五輪、そしてJリーグ結成以降のW杯は、自分の中では人生を振り返る際の
  メルクマールになっていると実感する。
  その時の自分の考えや感情が、記憶にくっきりと結びついている。

2002W杯については、プレマッチの親善試合から、終了後の初の代表戦まで、
長期にわたって通した記録になっていて、まるで自分が体験したかのような
印象さえもった。
この辺は、紀行文も多く書いている沢木さんの真骨頂かもしれないと
考えるようになった。取材対象に近づきすぎると、こんなふうに俯瞰した
ものは書けない。

  先週終わったトリノ・オリンピックと、これから来るドイツ・ワールドカップ
  また印象的なものになると思う。

4年ぶりのワールドカップ楽しみにしています。