萩原浩さんの長編小説。
ブラックな仏壇・仏具販売会社メモリアル商会で
セールスとして働く主人公:江沢潤
恋人とも別れ、鬱の症状に悩まされる中で
生きることにも絶望しかけていた。
そんなある日 夏祭りの金魚すくいで出会った金魚(琉金)、
やがてリュウと名付ける、
その金魚が実は・・というストーリー
萩原浩さんの短編の名作「押し入れのちよ」のような
コミュニケーションのなかでのおかしみ、
(えびせん、鯉や鰻とのエピソードなど)
はもちろんだけれど、
リュウと出会ったころから潤に芽生えた不思議な能力での
交友のエピソードなど
主人公が不本意にも働くことになった仕事もきちんと
ストーリーに生きている。
オキナモズクを求めての九州・長崎への旅行
実家に戻った母親との再会
出会いに偶然はない、すべては繋がっている、
という言葉の意味がわかる終盤、
主人公が水桶を抱えて帰るシーン、
安堵となにかを悟った主人公の気持ちを感じてせつない。
そして最後のシーン、
不意打ちですね。。
数年の時をこえて思い出があふれて・・
おすすめです。