road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「金魚姫」萩原浩/角川書店

萩原浩さんの長編小説。

ブラックな仏壇・仏具販売会社メモリアル商会で
セールスとして働く主人公:江沢潤

恋人とも別れ、鬱の症状に悩まされる中で
生きることにも絶望しかけていた。

そんなある日 夏祭りの金魚すくいで出会った金魚(琉金)、
やがてリュウと名付ける、

その金魚が実は・・というストーリー

萩原浩さんの短編の名作「押し入れのちよ」のような

コミュニケーションのなかでのおかしみ、
(えびせん、鯉や鰻とのエピソードなど)
はもちろんだけれど、

リュウと出会ったころから潤に芽生えた不思議な能力での
交友のエピソードなど
主人公が不本意にも働くことになった仕事もきちんと
ストーリーに生きている。

オキナモズクを求めての九州・長崎への旅行
実家に戻った母親との再会

出会いに偶然はない、すべては繋がっている、
という言葉の意味がわかる終盤、

主人公が水桶を抱えて帰るシーン、

安堵となにかを悟った主人公の気持ちを感じてせつない。

そして最後のシーン、
不意打ちですね。。
数年の時をこえて思い出があふれて・・

おすすめです。