熊本在住のSF作家、梶尾真治さんの長編小説。
熊本、天草の離島:壱里島が舞台。
主人公は商社に勤める宮口翔一。
退職願いを持って上司の机に向かったときに
熊本出身ということを買われて常務の特命を受けることになる。
常務の故郷でもある、壱里島で売られていた不思議なたわしの調査。
熊本に15年住んでいて、天草に行ったのは一回だけだと思う。
(学生時代にクラスの日帰りイベントで水族館だったかな・・)
映画化もされた「黄泉がえり」ほど、
自身の熊本の記憶を思い起こすような描写はなかったけれど、
小さな島で、生きてきた老人たちの人生、映画への思い入れなどが
暖かい。
狭い日本といいながら、風土の異なるたくさんの街が存在するのだな。
財政破綻からの脱出の切り札として、原発の核燃料廃棄物処理場となることを
受け入れようとする現町長。それに反対する市民。
どちらも故郷である島を愛しているところがファンタジー故の
ほっとするラストシーンにつながっていく。