road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「タックス・シェルター」幸田真音/朝日新聞社

幸田真音さんの長編小説。

中堅の証券会社:谷福証券の創業社長 谷山福太郎の社葬の場面から
物語が始まる。

新卒入社の頃から福太郎にかわいがられ
強い信頼を受けてきた財務部長:深田道夫が主人公。
生前の福太郎から”あること”を頼まれた後の突然の逝去。

堅くてまじめで、お金や出世にはこだわらない、
こつこつと誠実に勤め上げてきた、
そういう主人公の設定が、
この手の経済小説の中では異色で
ストーリーに引き込まれていく。

もう一人の主人公は東京国税局、調査部国際税務専門官:宮野有紀。
離婚して、娘いづみと、母千鶴子と暮らしている。

悩み考えながらも、仕事に対して真摯に取り組んでいる
彼女と深田が知り合って、物語がまた動き出す。

福太郎の死後、遺産や権力をめぐって動き始める
入婿:順介に、一人娘:玲子。

深田の回りで巨額の投資資金に絡んで
謀をめぐらす坂東や稗田明日美。

いわばありふれた周囲の動きの中で
深田や宮野有紀の価値観が、
ゆるがないところが魅力的だったのだが。

しょうがないのかも知れないが、もっと別のEndingも読みたかったと思う。