road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「腐蝕生保 上・下巻」高杉良/新潮社

高杉良さんが、巨大生命保険会社を舞台に描く長編小説。
週刊ダイヤモンド連載)

舞台は日本最大手の大日生命保険相互会社。
実力と実績で1選抜の地位を保ち続けているミドルの吉原の視線で
物語は進む。

高杉良さんの描く小説の常であるように、現実の出来事や会社を想起させる
書き込みは興味を引かれる。

今まで銀行や新聞社を舞台にした小説を読んできたけれど、
バブルの頃に、ジャパンマネーの象徴として証券会社とともに
隆盛を誇っていた生命保険会社の内実は、また違った。

最初は創業家の話から始まった物語が、会社の次のTOPの座を巡る
醜い争いの話になっていき、現実の業績を支えている営業や
セールスレディと本社経営陣の意識のあまりの乖離ぶりに
読みながら憤ること一度ではなかった。

主人公の吉原が怒っているときは、まだ冷静なのだけれど
たんたんと非常識なことがまかりとおることがたまらない。
当然のように社費での至れり尽くせりの夫との観光旅行を望む
無邪気な社長婦人の発言などが特に癇にさわった。
恥をしらない、無知は最悪だと思う。

最近、保険会社の問題がまたとりあげらえるようになっているが、
長い目でみて不誠実な会社は存続してはいけないだろう。

ただその大きさゆえに、すこしずつしか変わっていかない中で
寄生して、うまくやりぬけると思っている
不誠実な経営者もいるだろう。

消費者として、ユーザーとして、何らかのかかわりをもっていく中で
そういう会社の姿勢を選択の基準にするのも
大切かもしれないと思うようになった。