「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞した
薬丸岳さんの新作小説。
少年による殺人事件の不条理さを描いて乱歩賞を受賞した作者が、
今度は女児殺害事件をテーマに、
かつて同じ痛みを経験し、それを背負って生きてきた若い刑事を
主人公にして物語をつづる。
読み始めて、
捜査を進める刑事たちの表情がうまく書き分けられていて
ずいぶんうまくなったと思った。
主人公にも好感をもてた。
それだけに、最後のストーリーの収束先は、
それでよいのかという、違和感と
物足りない感じが残る。
もう少し長いページ数を使って、
そして葛藤や煩悶があればと思った。