road2vのブログ - a little white rooster

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「蚊トンボ白鬚(シラヒゲ)の冒険」藤原伊織/講談社

書名は目を惹いていたが、どんなタイプの小説なのか?
他の作品とくらべて見当つけづらいこともあって、
なかなか読むには至らなかった。

藤原伊織さんの訃報を知ったのが、この本を手に取る
きっかけになりました。

いつもの壮年の男性を主人公とした独特な寂寥感がただよう小説とはちがい、
まだ若い二十歳の若者、水道職人:倉沢達夫が主人公。

そして蚊トンボ白鬚。

奇想天外な展開に、藤原伊織さんがこんな小説を書くんだ、と
思いながらどんどん引き込まれていった。

主人公の倉沢達夫の行動や考えかたに好感が持てる。
達夫の人生に絡んでくる黒木や瀬川、八木沼真紀の存在も
ある意味さわやかで、この小説のカラーを決定している。

おもしろかった。楽しめた。
そして、最後に残る切ない寂しさ。

この小説の続編が、読みたかったな・・と本当に思った。

藤原伊織さんのご冥福をお祈りします。