藤原伊織さんの連作短編集。
「遊戯」
「帰路」
「浸入」
「陽光」
「回流」
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「オルゴール」
2007年に藤原伊織さんが亡くなった後、
すべての作品は読んでしまったと思っていた。
新しい作品を読めてうれしい、というのが最初の感想。
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連作短編の主人公は、
父親の残した拳銃をひそかに所持し続ける男・本間透、
警察官の父親を持つ朝川みのり
今までの多くの作品の主人公が
初老に近い男であったのに対して、
まだ若く、穏やかでいて
個の強さとまっすぐさを持っている。
物語もはでな何かがあるわけではないのだけれど、
独特の空気が流れていて、不思議な感覚がある。
「回流」を読み終えて、
これが藤原伊織さんの遺作であるのだと知った。
残念。
このシリーズも、また最後に収録されている
「オルゴール」のような作品も、
病を患って死を意識したからこそ書ける作品なのかもしれない。
もっと読みたかった、そう思う。
おすすめです。
