クーンツの作品を読むのはひさしぶり。
作品が”超訳”に移行してからは、遠のいていました。
文芸春秋やハヤカワでの筆名ディーン・R・クーンツからRが取れているのも
なにかメッセージがあるのか?
中期?以降、偉大なるマンネリ(褒めています。)
で傑作を書き続けているクーンツ、
久しぶりに読んだ本作、最初はかなり戸惑った。
上巻の1/2くらいまで、しつこいくらいの神経症についての書き込みで
マーティ、ダスティの夫婦も従来作の
主人公たちのイメージとはちょっとちがう・・
ひさしぶりに、読了せずに断念するかもと思いながら。
上巻の後半で、ようやく恐怖の対象である敵役の登場!
その卑しさと怖さはかつてないもの、
そして、戦いが始まって・・
ここから先は一気に引き込まれて、下巻を読み終わるであっという間でした。
今までのクーンツの敵役は、
理解できない、近づきたくない恐怖の対象であったのに対して、
本作では、徹底的にたたきのめしたいと思わせる自己愛のかたまりの卑劣漢。
マーティとダスティが、そいつを出し抜く時の爽快感がたまらない。
そのことが、いままでの作品とは違うエンターティメント性を
つくりあげてると思います。
それに、読み返せばあらためてちりばめられた
不思議なユーモア、おかしみもあって、楽しめるのがまた不思議。
クーンツの本道は、やはり従来の路線ではないかと
思うけれど、
本作は一読の価値ありと思います。