元銀行員作家として、テレビでの経済コメンテータとしても活躍している
江上剛さんの作品。
今まで何作か江上さんの本を読んだけれど、
本作は、はじけっぷりとそのテイストの違いが異色な作品。
物語は、
56歳で銀行を退職して関連会社に再就職することが決まっている銀行支店長の
銀行での最期の1日が舞台。
とどこおりなく、銀行員人生を終えたい支店長に、怒涛のごとくふりかかる
問題・事件。
それはもらえるはずの多額の退職金に直結している。
おそらく、書かれていることは事実から乖離したことでなくて
江上さん本人の経験も加味されているのだと思う。
登場人物たちのそれぞれのつらさは切実としても、笑ってしまう。
終盤で登場人物たちの”怒り”が、その日抜き打ちで支店にやってきていた
金融庁の検査官3人に向けて爆発するのだが..
ここが多分この小説が書かれた理由なのだろう。
最後は、希望のある再出発・新たなスタートになってよかった。
こんなふうに一緒に戦っていける関係であれればよいなと思う。