横関大さんの長編小説
後半、登場人物のセリフの中で言及されるのだけど、
表題のメロスは太宰治の「走れメロス」から。
それは、たぶん多くの人が最初に想起することでも
あると思うのだけど、
冒頭、現在のシーン
卓球の国際大会でのある選手の予想外活躍から
始まる時点で、
どんな話なのかは全く予測もつかなかった。
現在と過去(21年前、15年前、11年前。6年前)
が交互に描かれて、物語の意味がわかる後半では
ちょっと泣いてしまった。
彼が、そういう行動をとることができる、
成しえるというのが、
ちょっと意外で、だからこそ感動してしまった。
面白かった。
今年読んだ小説でベストになりそうな気がします。
ビュー10周年の最高到達点!と謡われた前作「罪の因果性」も
意欲的な作品だったのだけど
正直、比較されることも意識しただろう作品の呪縛が
強かったと思っていた。
本作は、横関大さんの作品の中でも
BESTじゃないかな。
こんな新境地を続けて書けるのって
すごいと思う。
おすすめです。
<出版社URLの内容紹介>
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第10回静岡書店大賞受賞の横関大が誘う最高の感動。
世界中の強豪選手が集結した「第1回東京レガシー卓球」。
会場では、急遽出場となった毛利翼(マオリーイー)という
中国の補欠選手が注目を集めていた。
初戦でいきなり世界ランク3位の選手を一蹴した男のユニフォームには、
中国選手のはずなのになぜか日の丸が縫い付けられていたのだ。
不思議な選手の登場に動揺するテレビ局の中継スタッフが調べると、
6年前、毛利翼(もうりつばさ)という大学生が、
殺人の罪で逮捕されていたことが明らかになる。
カメラに映る男とその大学生は同一人物なのだろうか?
過去と現在をつなぐ、絆のラリーが始まった。
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<講談社BOOK倶楽部の作品URL>
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000375775