3編からなる小説集。
「恋愛小説」
「永遠の円環」
「花」
金城一紀さんの小説は「映画篇」を先に読んでいたので、
驚かなかったけれど、「GO」の直後に読んでいたら
そのテイストの違いにとまどったかもしれない。
収録された3編に共通するのは"失われる命"だろうか?
「恋愛小説」
「永遠の円環」
小説の中の話ということで、他人事とは思えない
感覚は、年をとれば自然と感じてくるものだと思う。
健康に、普通に生きているだけでとても恵まれたことだと
思う。
「花」
題名からは、どんな小説なのか想像できないけれど、
病の不安を抱えた主人公のアルバイト、
冤罪事件の無罪判決を25年かけて勝ち取った初老の弁護士、
彼がかつて新婚旅行で通った東京->鹿児島への
高速道路を使わない行程を一緒にたどる旅にでる。
28年間の空白を埋めるための旅。
たどり着いた鹿児島のホスピスでのシーンには、
涙がでてしまった。
こういう小説はいいと思う。
ぜひご一読を。