内田康夫さんの遺作「狐道」、
未完で終わった最後の”浅見光彦シリーズ”の完結編。
内田康夫さんの意を組んだ「『狐道』完結プロジェクト」で
最優秀賞を受賞した作品です。
「狐道」では、多くの謎が提示された状態で物語が終わっており
正直、どう収束していくのか、
自分では全く想像できなかったのですが
面白かった!
そういうことだったのか。。
2度の「牛馬童子象」首の盗難事件の真相から、
長い間見つからなかった古墳のX線写真が発見されたエピソードまで
ぐいぐい引き込まれました。
きちんと回収された伏線、登場人物たちの人生や思いも
Endingに向けて深堀されて、浅見光彦が最後に取る行動にも
しんみりきました。
本作でデビューした作者の和久井清水(わくいきよみ)さん、
宮畑ミステリー大賞でも特別賞を受賞するなど、ミステリ分野で
今後、活躍されそうです。新作も読んでみたい、と思いました。
■蛇足
本作で1点、気になったところ。
浅見光彦が、主要人物の日記(戦前から戦後までの日々がつづられた)を読み込む日々を過ごす間、
後輩の新聞記者:鳥羽に自分の車{ソアラ」を、数日貸すっていう場面があるのですが、
貸すほうも借りるほうも描写が淡泊で(ソアラという車名ももうでてこなかったかも?)
ちょっと違和感がありました。
ソアラっていうクルマは浅見光彦にとって唯一(?)思い入れのあるモノだと思っていたので。