竹本健治さんの長編小説。
ウロボロス・シリーズ以外の作品を読むのはもしかして初めてかもしれない。
主人公:矢木沢はゲーム制作会社アプリカで働いている。
新しいRPG開発のためにイメージを膨らませるための資料を
探すさなか、リアルな幻に悩まされるようになる。
旧い建物を流用したオフィスの地下廊下、
日本の神話と類似する世界の神話、
日本の言語と類似する言語のかずかず。
竹本健治さんの小説でおなじみの
深い造詣と知識の泉の中で気持ちよく
ただよえる。
ただし小説としては、枚数も控えめで
後半急に展開する事態が、とってつけたようで
尻すぼみな感じがいなめなかった。
ゆっくりと近づいてくる龍のイメージなど、
脳裡に精緻な画を想像して
魅力的なシーンと思ったのだけれど。
不思議な魅力はあれど、残念でした。