road2vのブログ - a little white rooster

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「道徳の時間」/吾勝浩/講談社

第61回江戸川乱歩賞受賞作

主人公はフリーのビデオジャーナリスト:伏見雄大

仕事での挫折を引きずり、妻子の暮らす妻の地元に帰り
半年ひっそり生活していた彼に、

10年以上前かつてその地元で起こった事件の
ドキュメンタリー作品の仕事が持ちかけられる。

小学校での講演会、衆人環視の中でおきた殺人事件、
犯行動機を黙秘する犯人の唯一の証言
「これは道徳の問題なのです。」

そして彼の息子の通う町でおきた悪戯事件との附合。。

理解ある妻や、かつての仕事仲間、友人などとのつながりの中で
主人公の心の火が灯り、動き出すところ、
事件の謎がこれからあぶりだされていくだろう、臨場感にはわくわくしました。

巻末に、第61回江戸川乱歩賞の選考経過があって、
本作はその判断を受けた、かなり根本にかかわる部分の修正が入ったものらしいのですが、
選考委員の指摘する欠点のいくつかは、そのまま残っているのかと思います。

それでも、とある主要人物の強い意志の力に引きずられて
あるかもしれないな、と思いわせるリアリティが作品を成立させています。
楽しみました。