誉田哲也さんの長編小説。
主人公の瀬野梢恵(せのこずえ)は
理化学実験ガラス機器の専門メーカー片山製作所で働く24歳のOL.
刑事ものでもなく、ホラーでもなく、
これといった取り柄も(やる気も)なかった主人公が
社長から受けた無茶な仕事(長野でバイオエタノール用農作物の作付契約をとる)を
受けてどう対応するか・・・
縁があって梢恵が農業経験の手ほどきを受ける”あぐもぐ”の人たちの
温かさが、忙しくてはあっても生きがいがある新しい生き方を梢恵に
気づかせる。
"あぐもぐ"の安岡茂樹が、食糧自給率のまやかしについて語るところは
新しい発見だった。
それに
バイオエタノールを地産地消の自給自足という概念で考えるところは新鮮。
作中で一時東京にもどった梢恵が遭遇する東北大震災の描写には、
東京で経験したときの臨場感がありました。