鏑木蓮さんの書き下ろし長編小説。
共に警察官の父親を持つ三条隆史と向田伸人は親友。
ほのかに思いを寄せる同級生の竹内麻衣を巡っても
互いの気持ちをわかった上で踏みだせない。
中学生、14歳の時に起きた事件が、
そんな二人の関係を大きく狂わしていく。
事件から13年後に明らかになる事件の真相。
事件そのものよりも、二入のその後の人生にひきこまれていく。
小説の中のことだからいかような物語もつくれるのだけれど
悩んで迷うことも、そこから立ち直って取り戻す何かも
現実のdetail感が、今まで読んだ小説にはなかったものだと
思った。
鏑木蓮さんの小説を読むのは、
「東京ダモイ」以来2作目でが、
こういう感触の残る小説はありそうでなかった。
先輩の森口との三条隆史とのコンビは、
今後も見てみたい。