桂望実さんの長編小説。
主人公の篠田凛子、
大学2年生のときに病で失明、
その後には家族の太陽のような存在だった母親も交通事故で亡くしたことで
生きる気力を失っている。
残された家族、漫画家である父と
いつも不平をこぼしている兄の真治、
1995年から2006年まで。
やがて父親が失踪して、
兄妹二人がどんな風にいきていくのか、
重さのある設定の中で、
ばらばらで心が通じ合えているとはいえなかった二人が
次第に成長して、こころ通じるようになっていくところ、
そのリアリティに、ほっとしたし、
文句をいいながら仕事を続けて、頼りがいのある大人になっていく真治が
頼もしかった。
小説にできる何かを持っていると思う。