武士道シックスティーンから連なるシリーズ・最新作。
楽しみにしていたシリーズの新作を手にすることができるのは
読者にとって無常の喜びのひとつ。
16歳、市の剣道大会の試合でたまたま出会った
二人の主人公:磯山香織に甲本早苗。
全国高校剣道大会で、約束した剣士としての再会を果たす。
前作で登場した、中学生以来の香織のライバルである黒岩レナとの
対決もあり、物語に区切りがついたというのは、
時間進行のある小説では、仕方ないとはいえ、少々寂しくもあるが
良かった。
二人の性格は、相変わらず対称的で、
考え方や進路の決め方が、”らしくて”微笑ましいです。
今回は、二人の視点のみならず、
前作までの中で二人にかかわる重要な役回りで登場した
関係者のそれぞれの物語が描かれて、それがまた
特別な感じを醸し出してくれます。
早苗の姉であり、モデルを職業と緑子と、その恋。
香織の通っていた桐谷道場、桐谷兄弟の物語、
早苗、黒岩レナを指導する吉野先生とのエピソード
二人の後輩である田原美緒、
最終章での磯山香織との電話でのやりとりには笑ってしまった。
彼女、彼らがそれぞれ物語を背負って、それぞれの人生を
歩いていく。
そういう展開になったのは、想像していなかったけれど、
後から何度か読み返してみると、よかったと思う。
誉田哲也さんの別シリーズ(姫川玲子)のファンの方も
シリーズ1作目から、ぜひどうぞ。
楽しめること請け合いです。