表題作「鉄道員(ぽっぽや)」を含む8編からなる短編集。
高倉健さん主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」は、
USに出張したときの機内で最初にみた。
日本人向けのコンテンツとして用意されていたと思う。
こんなに短い小説に、あの映画のエッセンスがすべてつまっている
のに驚く。
北海道は、(西日本・九州で生まれ育った私には、)まだ
訪れたことのない未踏の地だが、地方のローカル線の存在感だけで
これだけの小説が生まれるのか、と思った。
最初は映画とは異なる印象だった小説が、最後の方では
印象的なシーンと一緒に重なってきた。
「角筈にて」は、西田敏行さん主演のドラマで見た。
舞台になった角筈は、そのころ勤めていたオフィスの近くだった(ようだ)
関係もあって、数十年の時間を越えた邂逅みたいなものを感じて
印象に残っている。
この頃、思うのだけれど、
自分がティーンエイジャーや20代の若者だったら、
これらの小説は、今とはちょっと違う印象のものだったのだろうと思う。
映画でも小説でも、人の人生の機微をより深く味わえるということで、
年をとるのも悪くない・・ということにしておきたい。