road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「夜のジンファンデル」篠田節子/集英社

表題作を含む篠田節子さんの6編からなる短編集。

収録作品の初出をみると、かなり前の作品もあり、
同じテイストの作品が集まって
ようやく小説集として出版されたのだと思う。

「永久保存」1991
「ポケットの中の晩餐」1992
「絆」1998
「夜のジンファンデル」
「恨み祓い師」2002
「コミュニティ」2002

主題は、”世にも奇妙な物語"か"現代の怪談"か・・
大きなジャンルとしては、先日読んだ浅田次朗さん「あやし うらめし あな かなし」と
重なるのだけれど、印象はかなりちがう。
分類していくと作品の分布もよく似ているような感じなのに不思議。

短い中に印象的な起承転結を盛り込まないといけない、
こういう小説は作者の個性が際立つのかもしれない。

「永久保存」
ブラックなのに淡々と時間がながれる展開にあとから読み返して笑ってしまった。

「ポケットの中の晩餐」/「絆」/「夜のジンファンデル」
篠田さんの小説には”艶”がある。そう思わされた小説。
「コミュニティ」もそれがあるから、違和感が薄まるような気がする。

「恨み祓い師」
年老いた島村母娘の独白・人生が心にしみいった。
人に迷惑かけずに、まじめに一生懸命生きている人たちが
幸せに人生を閉じられる、そんな社会がやはり良い、
あらためてそう思った。