TVドラマ「あいくるしい」「ひとつ屋根の下」の脚本家である野島伸司さんの新作小説。
脚本家の書いた小説らしく、登場人物たちのセリフとセリフが連なるなかに、
微妙な心の動きを表現するところに野島さん独特の世界がある。
TVドラマやラジオドラマと同じ感覚で、テンポよいやり取りが気持ちよくて
すいすいと読み進められます。
テーマは、最愛の恋人との死別と、その後残された者の心。
「東京タワー」を読んだ直後にこの作品を読むめぐり合わせには、
ちょっと不思議な縁を感じた。
物語の中に、人の体と心が悲しみから健全に回復するということについて
言及されるところがあるのだが、
短いこのファンタジー色の強い作品にも、かなり癒されました。