表題作を含む中・短編-4編からなる小説集。
「溺れる人魚」
「人魚兵器」
「耳の光る児」
「海と毒薬」
主人公は、各々キヨシ・ミタライにその友人、そして石岡君。
最初の3編は、海外を舞台にしたもので独特なトーンに統一。
島田荘司さんならではの世界が楽しめます。
「水晶のピラミッド」の頃から考えると、海外を舞台にしたこんな小説が
何作も書かれることに隔世の感を覚えます。
ファンにとって嬉しいのは、遠藤周作さんの「海と毒薬」の名前を借りた
「異邦の騎士」へのオマージュ作品。石岡君からの御手洗潔への手紙の
形で語られるこの短編は、ひさびさの石岡君の登場と横浜の近況と
あわせて、懐かしい気分にさせられました。
こういう作品をみると、御手洗潔が日本で活躍する長編も
また読みたくなります。