「ダヴィンチ・コード」が2006年の話題を席捲したダン・ブラウンの1998年のデビュー作。
原題は「Digital Fortress]
NSA(国家安全保障局）暗号解読課主任スーザン・フレッチャー、
その恋人、ジョージタウン大学教授 デイヴィッド・ベッカーが活躍する。
息つく暇もない緊急事態の連続で、緊張感を維持したまま上下巻の長編が
あっというまに過ぎ去るスピード感が楽しめた。
デーヴィッドがスペインで遭遇する人たちが魅力的な造詣で新鮮だった。
個人的には「ダヴィンチ・コード」や「デセプション・ポイント」よりPoint高い。
「天使と悪魔」は未読。
NSAの全通信を傍受・解読可能なスーパーコンピュータ＜トランスレータ＞と
解読不可能な暗号ソフト＜デジタル・フォートレス＞。
この分野の技術革新の速度は速すぎて、ニュース・トピックを追いかけているだけで
常識とされていた概念がひっくりかえる現実が実際にある。エシュロンの存在が公に
なったのは2001年だが、それもいくつもの作品に登場するようになり、
かなり昔のことに感じられるようになった。
数年の時間経過でも内容の陳腐化を起こしかねないのだけれど、
十分なけれん味を味わえた。
とはいえもう８年も前の作品なので、早めに読んだ方が楽しめるはず？
最後に、
デジタル･フォートレスの開発者エンセイ・タンカド（日本人）の背景には、
特別な感慨が残りました。
