ひさしぶりに、浅見光彦が九州を舞台に活躍する内田康夫さんの新作。
長崎・長野・静岡・京都(舞鶴)・東京と舞台はめぐる。
上・下巻にわたる長編を、堪能した。
事件の舞台になる長崎・軍艦島(端島)は、もう20年以上前に
CMで映像が使われていてコンクリートの護岸堤防で囲まれた
小さな要塞のような姿に強い印象があった。
日本で始めて(大正時代に)高層マンションが建てられた場所であること、
その歴史や成り立ちを知って、あらためてその独特の存在感を感じた。
閉山したのが1973年(昭和49年)で、私が熊本に移った時頃には、
まだ居住地であったのかと思うと身近なものにも感じる。
資源としての石炭の見直しが進んでいるという記事を朝刊で読んだが、
日本各地にある炭鉱がまた活況を迎えるようなことがあればとも思う。
本作では、浅見光彦の年令が33才なのだけれど、
私よりも5歳も年下になってしまった。ドラマの俳優もそうなのだが、
少し悲しい。
とてもひさしぶりに読めた浅見光彦の恋愛エピソードも、
前向きでよかった。なつかしい感触です。