road2vのブログ - a little white rooster

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「キタイ」吉来俊作/幻冬舎

第6回(そして最後の)ホラーサスペンス大賞受賞作。

中国に伝わる死者復活の儀式・キタイ。

死んだ仲間・葛西のためにその儀式を行った8人高校生たちの
人生は大きく狂い、そして18年後、惨劇が始まる。

主な舞台が、主人公たちの高校があった茨城県という設定が
絶妙な位置観で、効果を高めていると思った。

前評判の高い作品だったので期待の大きな分、心配もあったのだが、
面白かった!!

近年の新人文学賞受賞作では飛びぬけた
最高のエンタティメント。

キタイの儀式から18年後、

再び物語が動き初めた前半部は、
ただその作品世界を受け入れるように進んだが、
高校生時代の回想シーン、
そしてまた現代に戻って深町と葛西の対決へ。

読み進むうちにリアリティと臨場感が高まって、
終盤とラストシーンの鮮烈さは心に残った。

恐怖がリアルである分、カタルシスがある。


巻末の選評(綾辻行人さん/桐野夏生さん/唯川恵さん)で、
概視感についての言及がされていたりするが、
ホラー作品を多数読んでいる人なら
ある作品について、その感覚は共有してしまうかもしれない。

それがこの作品の唯一のNegative要因。
(個人的には、キタイの方がよくできていると思う。)

最近は、傑作と思える作品にそう感じさせるものが増えてきていると思う。
読書家にとっては、不幸な感覚・・だ。