朝井リョウさんの小説。小説すばる新人賞受賞作。
部活、特に運動部というはこの日本でとても特殊な存在だと思う。
自分が部活をやっていたのはもう30年くらい前になるけれど、
状況はそれほど変わってないのじゃないだろうか。
この変わった名前の小説が、注目を集めたのは
部活をやめるっていう行為の伝聞が、多くの人の身に染みて
具体的な想像と興味を引いたからだと思った。
私も部活{運動部)を止めた経験があるのだけれど、就職して働き始めてからも
10年以上、部活に復帰するかどうかを悩むという夢を時折みてた。
何度見てもその夢のリアリティは変わらなかった。
最近見なくなったのは、もう当時の肉体感覚(再び練習に参加するの負担感)とかのイメージが
できなくなったからだと思う。
本作では、バレー部の主将で主力選手である、桐島自身は登場しない。
同じバレー部でリベロのポジションを争っていた小泉風介が当事者として
語り手になる以外は、クラスメイトでもない?
同級生4人のそれぞれの語りで物語がつづられていく。
一緒の学校にいて、普通に軽口をたたきあうような仲であっても
それぞれが抱えているシビアな現実は、触れられないものなのだなと思った。
ちょっとだけ、十代の頃の感覚を思い出しました。