副題は <進々堂世界一周>
- 進々堂ブレンド1974
- シェフィールドの奇跡
- 戻り橋と悲願花
- 追憶のカシュガル
- 後書
島田荘司さんの連作長編。
新作を読むのはひさしぶり。
京大入学を目指す浪人生の主人公:ぼくことサトルが、
京大そばの喫茶店「進々堂」で知り合った京大生、
それが若き日の御手洗潔
世界一周の放浪の旅から帰ったばかりの彼の話に
心を躍らせる。
インターネットで世界中の情報に簡単にふれられるように
なった今だからこそ、
放浪の旅をしてそこで出会った人から
直接見聞した、経験だけがもつ御手洗潔の話の重み。
いつもの御手洗ものとは一味ちがう味わいがある本作。
こんな展開もあるのだと、新鮮でした。
3/11の東日本大地震で亡くなった猪俣聡氏とすべての犠牲者の方々に
捧げると、後書きにあります。
主人公の、聞き手である”ぼく”がサトルと名乗る
書き下ろしの「進々堂ブレンド1974」は、
猪俣聡氏のために書かれたイントロダクションなのかもしれませんね。
御手洗ファンなら、おすすめ。