新井素子さんの"ブラックキャット"シリーズ"4作目(最終章)。
1作目から、ほのめかされていた
"あの人"とのブラックキャット・ゲームがついに終幕へ。
前・後編の2冊に分かれていて、それぞれに新井素子さんの
"あとがき"が付されているのですが、
前編の・を読んで、ちょっと笑ってしまいました。
私が十代の頃よんだ2作目”II ナイトフォーク"から
3作目の"III キャスリング"まで9年強の時間がたっていて、
(物語の中ではわずかな時間しかたってないのです。)
社会人になった私は、新作の刊行状況をトレースできてなかったのですが、
続けて、それほど間を空けずに出版されたと思っていた本作も
また、IIIから9年たってようやくリリースされたんですね。
{II->IIIの間を越えないようにする、と書いた新井素子さんの
公約を守らせるための、担当編集者とのやりとりがかかれています。}
IIIからIVまで、また9年待っていたファンには、
それは待ちきれなかったでしょうね。
さて、前・後編に分かれた長編。
おもしろかった。
本シリーズは、初作からいろんな伏線やほのめかしが
多くて(それも極端な)作品だったので、
どんな着地をするのか・・・
それが、このシリーズの魅力を損ねない形で実現できるのか?
正直、ちょっと心配していたんですよね。
これぞ、という感じ。千秋に、黒木、キャット、
そして山崎ひろふみ。前作で姿を見せた"あの人”も。
主要キャラクターたちが、それぞれの思惑で(勝手に)動いて
そして、ああ・・というあたたかさとちょっとのせつなさと
希望が残るEnding「ドアを開けると秋の空」。
後編のあとがきで、
この物語のEndingは新井素子さんが17歳のときに
クラスメイトたちに回覧していた手書きの小説に
ルーツを持つものだと説明されていて、
人生ってちゃんとつながっている..ということですね。
もちろん、またご縁もあるかもしれない。
期待してます。