日銀(日本銀行)を舞台にした幸田真音さんの長編小説。
著者初の週刊誌連載小説らしい。
主人公は日本銀行の政策委員会(ボードメンバー)
の審議委員に選ばれた国際経済学者:中井
就任前に亡き妻の思い出を抱えて旅した南アフリカで
出会った女性との再会、
それが新しく副総裁就任した芦川笙子。
彼女が企てる何かとは・・
円ドル相場が、身近な景気に大きく影響するという
現実は今や日常的なニュースになっている。
そのひとつの要因である国の政策決定の
指針を決める政策委員会。
日銀が動くことが市場にどう反映されるのか、
それがこの小説の大きな
テーマになっている。
本作でも過去の大きな事例として
扱われているプラザ合意。
1985年、自分でもまだ記憶の鮮明な18歳の頃だったと
知って驚いた。
その少し前の1ドル=360円という時代から、1ドル=200円の
時代へ、そういうキーワードが飛び交っていたのは覚えている
けれど、
ガソリンや大豆、輸入商品、為替相場が
自分の生活にこんなに直接影響するなんて想像もしていなかった。
当時も輸出産業に携わる人たちを含めた大人たちにとって
大変なことだったのだろうな。
そういうことを改めて考える契機になりました。